アートセラピーと図工が苦手だった私

後ろ姿の子どもが
しゃがみこんで
道路に何やら書いている。

男の子っぽい感じで
神やんだったのかなぁ…。

目覚めて、ふと思い出したのは
心理学の大師匠(師匠の師匠)

アートセラピーの先駆者
Y先生のことです。

アートセラピーというのは
絵画・造形・演奏・舞踊など
あらゆる芸術表現によって
心の健康を目指すことです。

病気や障害の改善
ストレス・感情のコントロール
自己理解などに役立ちます。

アートセラピーひとつに
なぐり描き法というのがあります。

何も考えずに線を書き
そこに見えるものを探し
見つけたものに色をつける。

セラピーを受ける人だけが
ペンをもつ方法もあり

セラピストと交互に
線を描いたり色をつける
という方法もあります。

あらゆる芸術表現の中で
線画や描画というのは
かなりハードルが低いです。

いきなりセラピストの前で
踊ったり歌ったりするのは
抵抗がある人でも

線をなぐり書きするだけなら
とりあえず、やってみるか
と、感じる可能性が高い。

特に「言葉」が苦手な人は
「描く」が得意な人
という可能性が高い。

表現したものを
視覚で確認できますから
保存するなり破棄するなり
自分で選べますしね。

(表現した言葉は
簡単に消せません)

私の場合は幼い頃に
アートセラピー(もどき)を受け
偏った解釈をされた経験があり

大人になってからは
「技法」という言葉に
抵抗感があり

さらに絵を描くのが苦手
という思い込みがあり

アートセラピーの講義は
はっきり申し上げて
超!退屈でした。

そんなんで、心が解放
されるわけないじゃん!

と、思っていました。

が!

Y先生の
交互なぐり描き物語統合法
というのは好きでしたね。

セラピーを受ける人と
セラピストとが
一枚の画用紙を使います。

漫画のコマ割りみたいに
画用紙を区切ります。

交替でなぐり描きして
出来上がった絵をもとに
物語をつくります。

絵は二人の会話です。

キャッチボールです。

そこには映像と感情の
交流があります。

分断された記憶や意識
表現できずに溜まった感情
気づきたくない怒りや哀しみ

などなどを
紡ぐ、縫い合わせる

…統合する効果がある

というわけです。

これも、ひとつの技法なので
合う合わないがありますし

セラピストの技量によって
効果が減少するどころか
状況を悪化させる場合もあり

万能ではありません。

が、アート苦手な私には
描いた後に物語を紡ぐ
というプロセスが
ありがたかった…。

という懐かしの思い出。